【MPSニュース】FSI(花き持続可能性イニシアティブ)の年次報告書が公開されました

FSI(Floriculture Sustainability Initiative)は花きの国際取引に関連する企業・団体で構成された組織です。現在のメンバーは約100社で、世界の花き市場の50%以上を占めており、花き業界の持続可能性向上のため共通の目標に向かって取り組んでいます。先日、FSIの目標年である2025年のレポートが公開されましたので、内容を簡単に紹介します。
レポートではFSIの2030年に向けた新しい戦略と、2025年時点での具体的な成果が報告されています
FSIは次の目標年である2030年に向け、「人々と自然、そして社会全体に利益をもたらす持続可能な取り組みを支援し、将来性のある花き業界を形作る」としています。重要な課題として、気候変動対策、水資源の管理、適正な労働・雇用環境とジェンダー対応、自然保護、循環型経済、の五つを挙げています。これらの問題に対する適切な対応の証明として認証制度を利用し、FSI基準(FSIの要求レベルを満たした認証規格の一覧)が公表されています。2030年には、FSIメンバーが取り扱う花きは100%、FSI基準を満たしたものにする、との目標を設定しています。
花きの国際取引の現状(2024年)として、世界の輸出総額は261億ドル(約4兆円)、うち樹木などの植物が116億ドル、切花が108億ドル、球根22億ドル、葉物15億ドルとなっています。国別ではオランダが輸出・輸入ともに中心となっていますが、コロンビアやケニアなどの生産国も大きな役割を果たしています。日本は米国・ドイツ・オランダ・英国・フランスに続く世界第6位の輸入国であり、FSIが注目している国の一つになっています。

現在の花き業界におけるサステナビリティの状況として、社会面では東アフリカやラテンアメリカでの雇用創出(特に女性)が重要視されており、気候変動が労働者に与える影響への対策が進められています。環境面では化学農薬の削減、水の効率的な利用、LED照明や地熱エネルギーへの投資が欧州を中心に加速しています。
これまで活動の主な成果として、FSI基準を満たした「責任ある生産・取引」は2024年時点で生産数量の79%、販売数量の74%を達成しました。これはFSI2025の目標であった90%には届かなかったものの、次の目標である「2030年に100%」は十分に達成可能な状況にある、としています。他に花の環境フットプリント手法として「FloriPEFCR」がEU標準手法に認定されたこと、花き取引におけるESG(環境・社会・ガバナンス)リスクを特定・管理するための新しいツール「Flori Risk Assessment」の運用が開始されたことなどが報告されています。
FSI2030では新たな取り組みとして、これまでの切花中心の活動から、球根や山採り(野生植物の採取)にも活動範囲を広げる、としています。球根生産に対しては社会問題や環境問題の面で政府やNGOが注目することが多く、切花同様「責任ある球根の生産・取引」を拡大してゆきます。また、これまでトレーサビリティ(追跡)が困難だった山採り植物についても、サステナビリティ基準を適用するプログラムが始動しています。
オランダMPS本部や、国際園芸博覧会のオーナーであるAIPH(国際園芸家協会)もFSIメンバーです。FSIの活動は日本の花き産業に無関係ではありませんので、今後もさまざまな情報をご紹介してゆきます。

