【MPSニュース】10月号・巻頭言:花の消費を増やすには!

MPSジャパン株式会社 代表取締役社長 松島義幸

花の消費が減少している。2024年度の花き卸売市場の取扱額は3477億円でピーク時1998年頃の60%まで減少している。お花屋さんは、4万店から1万6千店に減っている。良く知られているように、日本の花き消費は、お彼岸、母の日、お盆、年末年始などの物日に集中している。花を買っているのは年配者と女性。そこで、花き業界では、花き消費を増やすべく、男性が花を買う文化の醸成、新たな物日を立ち上げるべくフラワーバレンタイン、普段使いの消費を増やそうとウィークエンドフラワーなどに取組んできた。都市部では、男性が花屋さんの店頭に並ぶような光景を目にするようになったが、残念ながら全国的な展開に至っていない。 ホームユースの花では、購入してくれる20%の人で自宅用売上の80%を占めると言うような調査結果も出ている。少数の花好きの人でホームユース需要が支えられていると言える。今更だが、お花のファンを増やしていかなくてはならないことが分かる。 欧米ではこの15~20年の間に花き消費が1.5倍から2倍に増えている。花を愛でる伝統の日本でなぜ花の消費が落ち込んでいくのか。欧州の花店の視察から思うのは、豪華な花束を売る価格も提示していないような高級花店と千円~2千円の普段使いの花束を売る街の花屋さん、量販店花売場とお客のターゲットに対して明確に分かれている。欧州では、バラの流通の80%は短茎(40~50センチ)だと言う。勿論価格も安く、ホームユース用に使われている。お花の魅力を伝える一番の広告塔は店頭にある。最近では、ユニクロフラワーやKARENDOのように束400円位でお客様に自由に選ばせる店が売れている。花を買ったことのないような若い人が店内で賑わっている。見て好きな花を予算に合わせて買える気軽さが受けていると思われる。 花の国日本協議会では、well-blooming projectと名付けて、花の素晴らしさを知ってもらって、花の消費拡大につなげていこうと言う取り組みを花き業界の環境対応と共にスタートさせている。花や植物の驚きの効果=「#ビタミンF」の魅力を、科学的観点からも訴求して身近な花飾りをしてもらおうと目論んでいる。花き消費動向調査で、全ての年代で花の消費が減少している中で、Z世代、20代の若い人の消費が増えている。成人式や卒業式などで花束を抱えている記念写真をSNSに上げている。SNSで映像、“映え“の時代、身近に花のある暮らしの素晴らしさ、お洒落感をSNSで広げるインフルエンサーが出てきてくれたらと思う。これも今更ですが、花き業界で花のある暮らしの写真コンテスト(写真とエピソード、賞金)を部門を設けて(テーマ、シチュエ―ション、品目・・・)ネットで投稿してもらうのはどうだろう。