【MPSニュース】11月号・巻頭言:短茎の花の需要と生産!

MPSジャパン株式会社 代表取締役社長 松島義幸

ホームユースなど、カジュアル用途の花に求められているのは短茎の花。ただし短茎の花は、市場で値が付き難く、生産者が作りたがらない。
通常、生産者は値が付く2L規格(80~90センチ)を出荷するが、普段使いの花では30センチ以下の人気が8割という調査結果(国産花き生産流通強化推進協議会・2024年)がある。同調査では、自宅の花瓶は25センチ以下が70%とある。農水省の補助事業でも10年以上前からスマートフラワー、アジャストマム(菊)などと短茎の花の可能性を探ってきているが、なかなか広がらない。それもこれも市場で価格が付かないからだ。
消費サイドで望まれているのに流通していないのが現実。短茎であれば、使用する農薬、肥料、エネルギーも少なく、単位面積当たりの収量も増やせる。輸送費も下がり、廃棄する茎、葉の処分費も下げられる。長茎の副産物の短茎ではなく、短茎の花を生産して、コストに見合った価格を設定、生産者の利益が確保できる形を取れないものかと思う。いつも言っていることだが、欧州では流通しているバラの80%は短茎で価格も安いが、大量に売れている。規格を見ると、40センチ、42センチ…となっている。
過日、東北のバラの生産者を訪ねて短茎のバラについて聞くと、50センチのバラを4本束にして、スーパー(約200店)に卸していて、出荷価格も満足しているそう。勿論、普通に長茎の高品質のバラも生産している圃場だ。このスーパーには、別のバラ園からも供給している。いずれにしても生産者、小売が満足する形で取引が続いているのが素晴らしいと思った。
仏花束向けだが、小菊の短茎の流通例も出ている。滋賀・湖北地域では、45センチの小菊を「プチマム」として販売している。プチマムの単価は、@25~30円で、長茎に比べると安いが、25円を下回ることなく価格は安定。圃場では、一般的な小菊より20センチ以上短い60センチで、従来の6割の肥料で済むと言う。
 これも小菊の例で、短茎ではないが、JAいわて平泉花き部会では、最上位階級を75センチから70センチに見直し、3段階あった階級を、草丈70センチ、60センチの2階級にした。一番の問題は、短くすることで販売価格が安くなってしまうことだったが、従来と変わらない価格で推移している。短茎にすることで単位面積当たりの収量が増え、選花作業の負担が減り、加工時に発生する余分な茎葉などの処分コストも減少したことで消費地の評価も高まったそう。
 ホームユースやカジュアルフラワーにニーズがある中で、短茎の花は、規格の見直しと市場・仲卸における適正な価格設定ができれば増えていくと思われる。花き消費拡大の鍵でもある。