【MPSニュース】3月号・巻頭言:フラワーロスとは?

「花の小売店では仕入れた花の30%を廃棄している」というフラワーロスに関する記事があった。切り花は採花してからの鑑賞期間が限られているので食品の生ものと同じと考えなくてはならない。例えばストッカーに1週間置いていたようなバラをお客様に売ってしまうと、販売時には見た目に良くても、2, 3日経てば萎れてしまう。これではお客様が花を買ってくれなくなってしまう。また、仕入れた花の廃棄分のコストは、花の販売価格に上乗せされるので売価は高くなる。これもお客様離れとなってしまう。30%も廃棄していたのでは花屋さんはやっていけないだろうが、この数字は正しいのか?

小売段階における商品ロス率を調査したデータは少ない。古いデータだが、切り花で花き専門店11.7%、スーパー6.2%となっている(MPSジャパン調査 農水省花き産業の流通コスト調査委託事業 2010年3月)。更に古いデータだが、花き専門店では19%(1997年 辻・内藤 花き専門店の切り花仕入・販売行動)というのもある。少し新しいデータでは、2023年にMPSジャパンがヒアリング調査したものがあり、ある全国チェーン店で平均4.9%(83店舗)、店によるバラツキは概ね3~9%で、25%の店も中にはあった。また、同じく全国規模の花店(190店舗)では、ブライダル中心の店は、必要なだけ仕入れるのでロス率はほぼゼロ、一般の店で10%。同じく全国展開しているチェーン店(37店舗)ではロス率18~22%だった。全国規模のスーパー(約300店舗)では、ロス率が3~7%と回答を得ている。広島で6店舗を展開する花屋では、全量日持ち保証販売をしていて、仕入して3日経ったものは廃棄、ブーケや値引き販売もしないと言う運用をしていて、ロス率5.6%となっている。日持ち保証販売をする前には、ロス率13%だったと報告されている。花店におけるロス率は、保管の温度管理、衛生管理、在庫管理が改善されてきて、以前に比べて低くなってきている。また、売れている花屋ほどロス率は低くなっていると言える。

さて、ここまで小売店の店頭におけるロス率に触れてきたが、生産、流通段階での廃棄もある。生産においては、市場で評価される(価格が高い)長尺規格の花を生産している場合、規格に満たない花が廃棄される。但し、そのまま廃棄されることは少なく、短茎の花として出荷されることが多い。ロスフラワーを販売していると言う花屋があるが、この規格外の花を仕入れているもので、ロスフラワーを販売している訳ではない。かつて生産・流通段階では、適切な前処理、ハサミ、バケツなどの衛生管理、コールドチェーン(冷蔵保管、冷蔵輸送)が整備されていないことによる廃棄があったが、2010年からの切り花日持ち品質管理認証制度(リレーフレッシュネス)など日持ち性向上の施策によって、品質劣化による廃棄は減少している。

補足SDGsでも取り上げられているフードロス(食品ロス)の定義は、「人の消費に当てることのできる食料が、サプライチェーンの様々な段階で失われ、量が減少すること」とされています。日本の食品ロス削減では食品製造業や小売業、外食産業、一般家庭における食品廃棄物のうち「本来食べられるのに捨てられている食品」を対象としています。2020年のコロナ禍をきっかけにフラワーロスが注目されていますが、明確な定義や正確な推定は無く、根拠の疑わしい数字が出回っています。