【MPSニュース】植物大好き!西村社長コラム:日本の伝統的花き品種の将来
前回「花文化隆盛への期待を込めて」というタイトルで、日本が培ってきた伝統的花き商材に改めて目を向けるべきとして、江戸時代にシャクヤクなどの品種改良が進んだということを記しました。日本版ウィキペディアによると、シャクヤクはシベリア、中国、モンゴル原産で古くに日本に伝わり、江戸時代から改良が行われたとあります。19世紀にはフランスでもかなり育種が進んだようです。

現在日本でもブームになっていますが、人気品種の切花供給が追い付いていない状況です。本家である中国でも同様で、需要が急激に高まっています。国家林業・草原局が主管する中国花卉園芸協会が出版する「中国花卉園芸」の2024年9月号によると、主産地である山東省菏澤市の2024年度の生産量は1.2億本で切花栽培面積は2,700haで、これは全国の60%であり、これから計算すると全国で4,500haの栽培があることになります。今後生産量が現在の300%まで伸びる見通しということです。
シャクヤクは香気があり、つぼみが一夜にして椀ほどの大きな花を開き、中国人にとって甘美なこの花が魅力となっているようです。中国では需要の拡大とともに、国内供給量では足りない状況で、海外から毎年800~1,200万本が輸入されています。その70%がオランダからの輸入です。2024年の中国の央視新聞の記事によると、菏澤市で栽培される人気品種「御前表演」はアメリカで育成された品種で、苗定植4年目には667㎡当たり1.2万本が収穫でき、6~8万元(日本円で約120~160万円)もの収益があると言うことです。優良品種を利用することで驚くほどの収益が上がるという事実を背景に、中国では改めて日本の品種に注目しているようです。日本で栽培される品種も海外育成品種が多いのですが、伝統的に育成されてきた純粋な日本品種の可能性について中国の業界人は認めているということです。
中国ではシャクヤクと同様トルコギキョウの生産も伸びており、北京青年報によると主力産地である雲南省通海県では2025年7億本の切花を生産しています。生産される50%以上が日本の品種と言われています。シャクヤク、トルコギキョウ共に、花の形や色合いが似ており、中国では今後も拡大が続く見通しです。
国内需要を賄う必要から海外に苗販売ができない、といった閉鎖的態度ではなく、積極的な品種権獲得や現地への品種使用権譲渡などの戦略により、知的財産ロイヤリティーで稼ぐ視点を持つことが需要と思われます。世界にない日本の伝統的花きは競争力、チャンスがあるということです。


