MPS:花き生産者のための総合認証システム
MPSは、花き生産における環境負荷の低減、適切な農場管理、働く人の安全や権利を支える、花き産業に特化した国際的な認証システムです。
環境認証「MPS-ABC」を中心に、生産工程管理の認証「MPS-GAP」、社会的責任の認証「MPS-SQ」などを通じて、世界各国の花き生産者による持続可能な取り組みを支援しています。
MPSの始まり
MPSは、オランダの花き生産者による自主的な環境改善活動から始まりました。
複数の生産者が、農薬、肥料、エネルギーなどの使用量を記録して互いに比較し、生産に伴う環境負荷の低減を目指した取り組みです。
この活動は次第に多くの生産者へ広がり、オランダ語で「花き園芸のための環境プログラム」を意味する「Milieu Programma Sierteelt」と名付けられました。その頭文字を取ったものが「MPS」です。
この取り組みから、独自の環境認証「MPS-ABC」が誕生しました。現在では、オランダのMPS財団(Stichting MPS)が、世界各国の花き生産者に向けて複数の認証とサービスを提供しています。
MPSの認証・サービス
日本を含む世界各国で利用できる認証
MPS-ABC|環境認証

花き生産に使用する農薬、肥料、エネルギー、水などを継続的に記録し、生産に伴う環境負荷を評価する認証です。生産者による環境負荷の把握と、継続的な改善を支援します。
MPS-GAP|生産工程管理の認証

花きの生産工程と農場が、適切に管理されていることを示す認証です。トレーサビリティ、農薬の適正使用、作業者の安全、衛生管理など、農場運営全般を確認します。
MPS-GAPはGLOBALG.A.P.に対してベンチマークされ、FSIのGAP分野の要件を満たしています。取得には、MPS-ABCへの参加と有効な認証資格が必要です。
MPS-SQ|社会的責任の認証

花き生産に携わる人の労働条件や職場環境が、適切に整備されていることを示す認証です。国際労働機関(ILO)の考え方に基づき、雇用条件、労働時間、賃金、健康と安全などを確認します。
対象地域・利用条件が限定される認証とサービス
MPS財団では、上記の国際認証のほか、EUを中心とした市場や制度に対応するための認証・サービスも提供しています。
MPS-Compact

小規模な花き生産者が、より取り組みやすい形で持続可能性に関する認証を取得するための制度です。
HortiFootprint Calculator

花き・園芸製品の生産から流通までに生じる環境負荷を算定するためのサービスです。
MPS-ProductProof

栽培で使用した農薬の情報を記録・確認し、製品の透明性を高めるための認証です。
MPS-GreenerGrown

化学農薬の使用を制限した花き栽培を認証する制度です。
MPS-Insights

生産者が記録したデータを分析し、環境負荷の把握と改善に役立てるためのサービスです。
これらの認証・サービスには、EU基準への対応などを目的としたものがあり、利用できる地域や生産者の条件が限定される場合があります。
FSIとMPS認証の関係
FSI(Floriculture Sustainability Initiative)は、花き産業における持続可能な生産と流通を推進する国際的な連携組織です。
FSIでは、持続可能で責任ある花き生産に必要な基準を、次の3分野に整理しています。
- 環境:環境に配慮した生産
- GAP:適切な生産工程と農場管理
- 社会:適切な労働条件と社会的責任
MPSの認証は、それぞれ次の分野に対応しています。
- 環境:MPS-ABC
- GAP:MPS-GAP
- 社会:MPS-SQ
FSIの要件を満たすには、原則として「環境」と「GAP」の両方の認証が必要です。そのため、MPS認証ではMPS-ABCとMPS-GAPの両方を取得することで、FSIが求める環境・GAPの要件を満たします。
FSIが指定する人権リスクの高い国・地域では、これらに加えて社会的責任の認証であるMPS-SQが必要です。
FSI Basket of Standardsを見る(外部サイト)→
国際市場で進む認証の必須化
世界最大級の花き流通プラットフォームを運営するRoyal FloraHollandでは、取引に参加する生産者を対象に、FSIの要件に沿った認証の取得を段階的に義務化しています。
対象となる会員や取引形態によって適用時期は異なりますが、2026年から認証義務化が始まり、2027年7月までにすべての対象会員・供給者へ広げる方針が示されています。
国際的な花き取引では、環境や生産工程に関する取り組みを第三者認証によって示すことが、重要な取引条件になりつつあります。
MPSジャパンの活動
MPSジャパン株式会社は、MPS認証の日本国内での運用と普及を担っています。
日本国内の花き生産者が現在利用できる認証は、国際認証である「MPS-ABC」「MPS-GAP」「MPS-SQ」の3つです。
その中でも、MPS認証の基本となる環境認証「MPS-ABC」の普及を中心に、生産者による環境負荷の把握と低減、持続可能な花き生産への取り組みを支援しています。
MPSジャパンは、認証の取得だけを目的とするのではなく、生産者が継続的に記録し、自らの生産を振り返り、改善していく仕組みを日本の花き産業に広げることを目指しています。