【MPSニュース】オランダ最新情報:FSIの目標と活動について

MPS ジャパンではMPS-ABC認証の仕組みや記録内容について解説する無料オンラインセミナーを定期的に開催しています。さらに、本年は四半期ごとに「特別回」として、オランダMPS本部の協力のもとヨーロッパの最新情報について解説しています。

11月18日の特別回は、世界の花き産業でのサステナビリティ向上をリードする組織「FSI(花き持続可能性イニシアティブ)」をテーマに開催しました。MPS本部エリアマネージャーのアルタイ氏と、別の会議を終えて途中参加したFSI事務局のユルン氏より、FSIの活動とこれからの目標について紹介がありました。ユルン氏はかつて文化交流のため日本の花き業界で働いていた経験があり、会議参加者には顔見知りの方もいらっしゃり旧交を温める良い機会となりました。

FSIの成り立ちとFSI2025目標

FSIは今から10年以上前にオランダで、少数の花き関連団体が集まり持続可能性向上のための協力について話し合うところから始まりました。その後、農水産物の貿易における持続可能性向上のための国際組織であるIDH(国際貿易の持続可能性イニシアティブ)の支援を受け、参加企業・団体も増え、現在はこの分野で世界的なリーダーシップを発揮しています。

FSIには、世界中から花き関連の様々な業種が参加しています。それは運営委員の顔ぶれを見ても分かり、アフリカや中米の生産会社、オランダ花市場と卸業者、小売業者の、それぞれの代表者により構成されています。

FSIの活動の大きな目的は、自然環境・コンプライアンス・農場労働者の生活賃金に適切な配慮がなされた花き取引を実現する、というものです。現在の目標であるFSI2025では、適切な配慮がなされた花き取引を2025年に世界全体の90%以上で達成する、となっています。

そのためFSIでは、生産者に認証資格によってそれらが達成されていることを示すことを求め、環境認証・GAP認証(適切な農場運営を示す認証)・社会的責任の認証のそれぞれのカテゴリーで、FSIが要求するレベルを満たした認証規格を「FSI基準」として公表しています。そして環境・GAP・社会的責任(人権侵害リスクが高い地域での要求)の全てでFSI基準の認証資格を有する製品を「FSI準拠」とし、花き取引におけるFSI準拠の比率を高める活動を行っています。

昨年の目標達成状況は、FSIに参加している生産部門のメンバーの生産・出荷におけるFSI準拠率は79%、流通部門のメンバーの取引におけるFSI準拠率は74%と、本年が期限である目標達成まであと少しというところまで来ています。

このようにFSIは、それぞれの参加メンバーからの花き生産と取引におけるFSI準拠の報告を取りまとめ、それを参加メンバーにフィードバックする活動も行っています。EU域内の企業は規模に応じて順次、サステナビリティ関連の詳細な報告を行うことが法律により義務付けられており、大手企業ではすでに報告義務が課せられています。FSIに参加している企業でもこれから報告義務の対象となるところが多く、取り扱い製品のFSI準拠の状況はこの報告の作成に大いに役立ちます。

ここまでの成果は決して簡単に得られたものではなく、FSI準拠の定義付けから始まり、認証規格のFSI基準を定め、ふさわしい認証制度を精査して公表し、花きの取引でそれらの認証資格の取得を生産者に要求する、という、FSIメンバーの継続的な協働作業によって得られたものです。さらに本年には、花き製品の環境負荷を数値化する「環境フットプリント」でもFSI基準の認証ツールを認定し、今後の活用に期待が持たれています。

様々な分析により花き業界のさらなる持続可能性向上のために重要なキーワードを抽出した結果、「透明性」「データ」「物語(ストーリーテリング)」「教育」「コミュニケーション」のように、消費者に対してFSIの活動を訴求し、信頼獲得してゆくことが大切と分かりました。2025年の達成目標に向けた活動であるFSI2025は今年が最終年ですが、これらの分析を基にして、また新たな目標に向けて活動が行われます。

FSIの次の目標達成時期は2030年と決まり、来年から「FSI2030」が開始されます。大きな目標として、2030年に、世界の花き取引を100%FSI準拠にする、ということを掲げています。データの活用やツールの開発も継続して行い、業界内における情報共有を向上して協働を促進します。さらに消費者に対し、このような花き業界の持続可能性向上のための努力と活動成果をストーリー仕立てで紹介し、花きの価値向上に結びつけます。

活動対象としては、これまでは自然環境の保護と農場労働者の待遇改善が中心でしたが、気候変動対策、水資源の管理、循環型社会の構築への活動をさらに強化してゆきます。新たにFSI基準に加えられた環境フットプリント認証ツールは、これらの活動において大きな役割を果たすと期待されます。

現在、FSIには100社を超える花き関連企業・団体が参加しています。しかも、種苗会社から生産者、貿易会社、市場、卸売業者、小売業者、認証会社や研究機関と、花き産業に関連するすべての業種が集まっており、持続可能性と業界の地位向上のために、効果的かつ効率的に共同プロジェクトを進めています。また、持続可能な花き取り引きのためのルールを自ら設定し、それを国際標準として位置付けようとしています。

FSIはこれからも世界の花き業界における持続可能性のリーダーとして活動してゆくことになるでしょう。