ブルームネット|千葉県 

「咲ききる瞬間を届けたい」


ブルームネット|千葉県 

松崎 航 (まつざき わたる)さん

水が生む花、君津のカラー

千葉県君津市は、房総半島の中でも湧水が豊富な“水の町”です。
「久留里の名水」でも知られ、造り酒屋が多いこの地域では、冬から春にかけてみずみずしい花が咲き誇ります。

この恵まれた環境を背景に、君津の湿地でカラー(Calla)の生産に取り組んでいるのが「ブルームネット」。
現在は10軒ほどの生産者が所属し、湿地性カラーが8軒、畑地性カラーが2軒。出荷時期はおおむね10月から翌年3月までです。
長年、品質と姿の美しさで全国の花市場から高い評価を得ています。

「水がきれいで、絶えず流れていることが大切なんです。
水が滞ると根が傷んでしまいます。君津では昔から“上総掘り(かずさぼり)”や掘り抜き井戸が多く、常に新しい水を流し続けられるんですよ。」

松崎さんの父は、約30年前にグループの立ち上げに関わった創設メンバーの一人。
いま、松崎さんはその志を受け継ぎ、新しい時代の花づくりに挑んでいます。


「咲ききる」ことへの挑戦

1990年代、全国のカラー生産者は、病気の発生によって主力品種「チルドシアナ」からの品種転換を余儀なくされました。
君津でも新たに導入された「ウエディングマーチ」は、茎が太く花弁が厚く、蕾のままでは咲かないという性質を持っていました。

「従来の出荷方法だと、市場に並んだ花が咲かないまま終わってしまうんです。
当時、花屋さんから“カラーは咲かない花だよね”“咲かないと面白くない”という声もありました。」

お客様に“咲く喜び”を届けたい――。
その想いが、若い生産者たちを動かし、ブルームネットの誕生へとつながっていきます。

「昔の出荷のやり方では咲かない。なら、自分たちでやり方を変えよう。
そうして“咲ききるカラー”という考え方が生まれたんです。」

花を咲かせてから収穫するには、タイミングの見極めが命です。

「開きすぎると傷みやすく、早いと咲かない。
天気や気温、水の温度を見ながら、“この瞬間だ”というときを逃さないようにしています。」

こうして生まれた“咲かせて出すカラー”は、店頭に届いたあともゆっくりと咲き進み、花瓶の中で凛とした美しさを見せます。


一輪一輪を手にとって選ぶ

「咲ききるカラー」は繊細で、わずかな衝撃でも傷がつくことがあります。
だからこそ、出荷には細やかな工夫を欠かしません。

「縦箱に枕を入れて、花を詰めすぎないようにします。
昔は50本入りでしたが、今は70cm以上なら20本、60cm以下なら30本。
横箱だと花が潰れやすいので、うちは縦箱です。」

栽培の段階でも、扱いやすくしなやかな茎を目指して肥料は控えめにしています。

「他の産地では長さを出すために強めに肥料を入れることもあると聞きますが、
私たちは“軽やかで美しい”姿を理想にしています。」


選別の厳しさがブランドをつくる

ブルームネットの大きな特徴は、徹底した選別と仲間同士の密なコミュニケーションにあります。
出荷の最盛期には、週3回ほど集荷場にメンバーが集まり、それぞれの花を見ながら情報を共有します。

「“ブルームネットの名前で出せるか”を確かめます。
長さ、太さ、花の向き、開き具合――1本ずつ手に取り、ぐるっと回して全体を見ます。
横顔も後ろ姿も、どこから見ても美しいかを確認します。
自分の出荷でグループの名前を落とさない――その意識があります。」

地元JAで出荷を担当する鈴木さんも話します。

「ブルームネットの皆さんの品質を見る目は本当に厳しい。小さな傷も見逃さない。
“これではブルームネットの名が立たない”と判断すれば即アウト。
だからバイヤーからは“ブルームネットから買いたい”という声が多いんです。」

こうした対話と連携の積み重ねが、ブルームネットの信頼とブランド力を支えています。


花づくりに、夢と誇りをつないでいく

「君津のカラーは、どこでも作れる花ではありません。
水があって、手をかけて、ようやく咲く花です。
この環境を守りながら、生産者が夢と誇りを持って取り組める花づくりを、次の世代に引き継いでいきたいんです。」

「父は“やりがいのある花づくりでなければ続かない”と言っていました。
自分もそう思います。花づくりが夢を描ける仕事であり続けるように。
その姿を次の世代に見せることが、若い人たちがこの世界に入ってくる一番の希望になると思います。」


咲ききる花が伝えるもの

君津の豊かな水と、生産者の丁寧な手仕事が育てた花。
咲ききるカラーは、花瓶の中でゆっくりと表情を変えます。日ごとに花が開き、香りがやわらかくなっていきます。

「花が咲ききる瞬間を見極めてから収穫する。そうしないと、花屋さんでは咲かないんです。
やっぱり咲いたときが一番きれいで、見ていて楽しいですよね。
湿地性のカラーは香りもあります。ほんのり甘くて清らかで、部屋の空気がやさしく変わる香り。
あまり知られていませんが、そこがこの花の魅力なんです。」

プロフィール
松崎 航 さん|千葉県君津市・ブルームネット 部会長
東京農業大学を卒業後、大手生花小売店に勤務。店長として販売や仕入れを担当し、
花の現場を幅広く経験したのち、家業を継承して就農。
現在はブルームネットの部会長として、“咲ききるカラー”の理念を大切に、
地域とともに次世代へ花づくりをつないでいる

インタビュー実施日:2025年10月

認証者情報

認証者名ブルームネット
所在地千葉県君津市
取扱品目カラー
認証活動歴リレーフレッシュネス認証
ウェブサイトhttps://www.bloomnet-calla.jp/
Facebookhttps://www.facebook.com/profile.php?id=100057495637138